インテリアデコレーションエクセルシアーの基礎知識
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97インテリアに関するさまざまな「物」や「道具」は、家具・雑貨・テキスタイルにおいても、すべてが必ずしも新品である必要はない。日本では一般的に新築や引越しなどで、新たな家具やカーテンを購入することが多く、新品しか選択肢にないことがあるが、本来インテリアとは古いものと新しいものが混在し、溶け合っていくものであり、それが暮らしの歴史にもなるのである。どんなに新しく美しいものも、時間とともに必ず古くなっていく。そして、古くなることで新たな発見や価値が生まれることも多い。物を大切に使うことはとても素晴らしいことであり、ヨーロッパでは昔から古いものを繰りかえし修理して長く使用するのが一般的である。しかし、日本では戦後の復興に際し、大量生産を多く行い、またスクラップアンドビルドの観点から、「つくっては壊す」ことがあたり前であったため、ヨーロッパのような古いものを長く使うという意識が低く、新しいものに常に注目が集まり、古いものは廃棄されることが多かった。それでも最近では、環境保護の観点からリサイクルの意識が高まり、家具に限らず再利用することが多くなってきた。しかし、こういった時代背景や環境保護の観点を除いても、昔から古いものの美しさや、新品にはない味わいなどを好む人々は日本にも多く存在している。けれども、古いものの価値や価格については区別しにくく、一般的にはその境目がわかりづらいことや、修理が必要なことも多く、取り扱いにも手間がかかるなど、なかなか一般的には広まっていない。インテリアの業界でも、これまでその業界の特性からアンティークやヴィンテージについてのジャンルは否定こそされないが、ある一定の距離を置いて取り扱われて来た。その理由は、取り扱いやメンテナンスが新品のものとは流通過程や管理方法が異なり、あくまで専門的な分野とされているからである。しかし、本来は誰もが自分の価値観で新しい古いに関係なく個性を生かした空間づくりを楽しめるべきである。古いものを大切にし、融合させることで磨かれる感性は、将来的に日本全体のインテリアデザインレベルをアップさせる可能性さえもっている。では実際に「古いもの」とはどんなものをいうのか。また、それに関連する言葉の定義について知っておく必要がある。1. アンティーク(Antique)欧米で「アンティーク」とは、通常100年以上経た美術品、工芸品、手工芸品をいう。それより前のものはアンティークとはいわず、現在では1900年代前半のものまでを指す。家具などに限らず、敷物や調度品、アクセサリーなどもすべて同じ扱いである。アンティークの中にもいくつかの分類がありおおまかに区切られている。2. 骨董日本でのアンティークを指す意味で、美術的な価値や希少価値のある古美術品や古道具類を指す。また、古くて使用できなくなったものも含まれる。2. ユーズド(Used)中古品という意味。英語ではセカンドハンドという。年代に関係なく、一度使用されたもののことで「中古品」を指す。3. ジャンク(Junk)アンティークとは違い、100年経たない古いもののことを「ジャンク」と呼び、1940年代以降につくられているものを主に指している。最近の日本では、中古品で一部が壊れているものなど、本来の使用価値が問えないような、いわゆるガラクタを指す言葉としても使われている。?─6インテリアにおける「古いもの」の価値第?章 インテリアデコレーションの基礎

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